同じ神社でも、祭りの日によって神職の色が違います。例祭の朝は、袍の黒や赤が拝殿の影の中でくっきりし、別の祭りの朝は、列の全員が白に揃います。装束は、お祭りや儀式の種類と、身分とによって定められています。祭りには大祭、中祭、小祭の区分があり、衣はその区分に合わせて三段に分かれます。
大祭のときは正装です。例祭、祈年祭(きねんさい)、新嘗祭(にいなめさい)などが、この格に入ります。男性は衣冠(いかん)、または正服を着け、女性は正服です。頭から足まで、冠、袍(ほう)、単(ひとえ)、切袴(きりばかま)、あるいは差袴(さしこ)、檜扇(ひょうせん)、浅沓(あさぐつ)を一式として整えます。一箇所でも欠けると、正装の名に合いません。大祭は、社にとって一年の核になる祭りです。衣冠の重さは、その核に見合う礼として着られます。
白に揃う日と、浄衣の日
中祭のときは礼装です。歳旦祭(さいたんさい)、紀元祭(きげんさい)、元始祭(げんしさい)などがここに入ります。男性も女性も斎服(さいふく)です。男女とも、身分にかかわらず白地で揃えます。用いられるのは、冠、袍、単、切袴、檜扇、浅沓、日陰糸(ひかげいと)などです。大祭が色と文で身分を表に出すとすれば、中祭の白は、身分の差をいったん衣の色から外した礼です。日陰糸が冠の側で揺れるのも、この礼装の景色に含まれます。
小祭のときは常装です。男性は浄衣(じょうえ)、または常服(じょうふく)。女性は常服、または浄衣を着けます。装束を並べた図では、女性が常服、男性が浄衣、という組み合わせも見られます。大祭の衣冠、中祭の斎服を外した日の祭祀を、この軽い装いで務めていきます。毎日に近い祭りほど、布は動きやすく、色は控えます。
袍の色が、身分を分ける
装束には、身分の別によって袴や袍の色を分ける定めがあります。特級は袍が黒、袴が白で、文があります。一級は袍が赤、袴が白で、文があります。二級上は袍が赤、袴が白で、文は薄紫です。二級は袍が赤、袴はなし。三級は袍が緑、袴は水色(あさぎ)なし。四級は袍が緑、袴は浅黄なし。黒の袍は最上の特級にだけあり、赤の袍は一級から二級までを覆い、緑の袍は三級と四級に下りていきます。
男性神職の袍の色は、身分によって区別があります。袴の文の区別は、男女に共通です。色を読む側は、袍で男性の身分を見、文の有無と色で、男女を分けずに階を見ます。現在、神職の総数の約一割が女性神職です。宮中の女官装束にも、その名残は続いています。女性の正服や斎服は、宮中で女性が神事に仕えた装いの記憶を引いています。
清めてから、袖を通す
装束を整えて神前に立つことは、心身を清めてから神に向き合うしるしです。袖を通す前の清めと、袖を通したあとの色とが、一つの礼になっています。古事記の世界でも、神事に臨む前の清めと装いが重んじられてきました。色や形に込められた格式は、誠の心で仕えるための形です。黒か赤か緑か、白で揃える日か。選ぶ基準は、その日の祭りの格と、着る人の身分です。
一年を衣で追うと、三段が身体の記憶になります。歳旦祭や紀元祭、元始祭の朝は、身分を問わず白い斎服です。冠に日陰糸が付き、袍も単も切袴も白の列に溶けます。例祭や祈年祭、新嘗祭になると正装へ移り、男性は衣冠か正服、女性は正服です。特級の黒、一級から二級までの赤、三級と四級の緑が、同じ拝殿に並ぶことがあります。袴は特級と一級が白で文あり、二級上は白に薄紫の文、二級は袴なし、三級は水色(あさぎ)なし、四級は浅黄なし。小祭の日は浄衣や常服に戻り、図に見るように女性が常服、男性が浄衣という組み合わせも生まれます。切袴に代えて差袴を選ぶのも、大祭の正装の幅の中です。浅沓を履き、檜扇を持つところまで揃えて、その日の格が完成します。
袍の色が分かれるのは、神社の神職の話です。家の中では、お神札をどの位置へ納めるかが、神を迎える最初の作法になります。


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