前回は、日吉大社と山王権現、延暦寺の鎮守神としての信仰について学びました。今回は、香取神宮(かとりじんぐう)と鹿島神宮(かしまじんぐう)について、「神宮」と呼ばれる理由から天孫降臨前の国土平定まで、しっかり整理していきます。
「伊勢神宮以外で神宮と呼ばれるのは?」「経津主神と建御雷神の違いは?」「なぜ春日大社の神々が勧請された?」——関東を代表する二社は、日本書紀の神話と深く結びついています。古事記・日本書紀の天孫降臨神話も押さえましょう!
1. 「神宮」とは——伊勢神宮以外の二社
古くは「大神宮(だいじんぐう)」と呼ばれ、平安時代以降「神宮(じんぐう)」と称されるようになりました。
伊勢神宮(いせじんぐう)以外で「神宮」と呼ばれるのは、香取神宮と鹿島神宮の二社です。この特別な呼称は、両社の格式の高さと、古代からの重要な役割を物語っています。
2. 香取神宮——経津主大神(ふつぬしのおおかみ)
香取神宮(千葉県香取市)のご祭神は経津主大神(ふつぬしのおおかみ)です。
経津主大神は漁業・海運の神として信仰されてきました。関東の海辺に鎮座する香取神宮は、漁師や船乗りたちの信仰を集め、海上安全の守護神として崇敬されました。
古くは「香取大神宮」とも呼ばれ、朝廷からも高い崇敬を受けた神社です。
3. 鹿島神宮——建御雷神(たけみかづちのかみ)
鹿島神宮(茨城県鹿嶋市)のご祭神は建御雷神(たけみかづちのかみ)です。
建御雷神は武運の神として信仰されてきました。雷の力を持つ武神として、古くから武士たちの信仰を集めました。鹿島神宮は関東の武神信仰の中心として、大きな影響力を持っています。
💡 試験のポイント
- 伊勢神宮以外の「神宮」:香取神宮・鹿島神宮
- 香取:経津主大神=漁業・海運の神
- 鹿島:建御雷神=武運の神
- 平安時代以降「神宮」と称される
4. 天孫降臨の神話——国土を平定した二神
日本書紀の天孫降臨(てんそんこうりん)の神話において、経津主大神と建御雷神は重要な役割を果たしました。
天孫(天皇の祖先)が地上に降臨する前に、まず国土を平定する必要がありました。その使命を担ったのが経津主大神と建御雷神です。
二神は国々を鎮め、皇孫降臨(すみらみこうりん)の前に国土を平定しました。荒れ狂う国の力を鎮め、天孫が治めるにふさわしい土地を整えたのです。
この功績により、香取神宮と鹿島神宮は朝廷から特別な崇敬を受け、「神宮」と呼ばれる格式を獲得したと考えられます。
5. 春日大社への勧請——二神の影響力
香取神宮と鹿島神宮のご祭神は、のちに春日大社(かすがたいしゃ)にも勧請(かんじょう)されました。
春日大社の春日四所明神の第一・第二の神は、それぞれ鹿島神宮の武甕槌命(たけみかづちのみこと)と香取神宮の経津主命(ふつぬしのみこと)です。二社の影響力が、奈良の春日大社にも及んでいることがわかります。
【古事記トピックス】出雲の国譲り——建御雷神の活躍
鹿島神宮のご祭神・建御雷神の活躍は、古事記の「出雲国譲り」でも描かれています。
古事記の「出雲国譲り」で、大国主神が国を譲ることを承諾した後、建御名方神が国譲りを拒否して力比べを挑みます。天の使者たちの力にはかなわず、建御名方神は諏訪の湖へ逃れました。
この物語のなかで、建御雷神(たけみかづちのみこと)は、大国主神のもとへ使者として遣わされ、力比べの場面でも活躍します。古事記では武甕槌命(たけみかづちのみこと)とも表記され、雷の力で敵を圧倒する武神として描かれます。
経津主大神も古事記・日本書紀の神話に登場する武神です。天孫降臨前に国土を平定した二神——古事記・日本書紀の国造り神話が、香取・鹿島の「神宮」という特別な地位につながっているのです。
6. 香取・鹿島の格式と朝廷の崇敬
香取神宮と鹿島神宮は、古代から朝廷の祭祀において重要な位置を占めてきました。天孫降臨前の国土平定という神話的な大きな功績に加え、香取は海運・漁業の守護、鹿島は武運の守護として、朝廷からも崇敬を受けました。
江戸時代には、徳川家康も鹿島神宮を深く信仰したと伝えられます。関東の氏神として、武士の信仰の中心にあった両社の影響力は、政治・軍事・産業のあらゆる面に及んでいました。
💡 要石(かなめいし)と鹿島神宮
鹿島神宮には要石(かなめいし)と呼ばれる石が祀られています。日本の地の要(かなめ)を押さえる石として、地震を鎮める力を持つと信じられています。建御雷神が武神であると同時に、国土の安定を司る神としても信仰されていることを示す象徴です。
7. 経津主神と建御雷神——二神の役割分担
経津主大神は海の神として、建御雷神は武の神として、それぞれ異なる領域を司ります。天孫降臨の神話において、海路の安全と陸地の平定——この二つの使命を担ったのが香取と鹿島の二神です。春日大社への勧請にもみられるように、二神の組み合わせは、日本の国家形成の神話において不可欠な要素となっています。
香取神宮と鹿島神宮をセットで覚える際のポイントは、「海の神」と「武の神」という役割分担です。経津主大神は漁業・海運、建御雷神は武運——この対比は試験でも頻出です。また、古くは「大神宮」と呼ばれていたこと、平安時代以降「神宮」と称されたことも合わせて押さえておきましょう。
💡 香取神宮と鹿島神宮の所在地
香取神宮は千葉県香取市、鹿島神宮は茨城県鹿嶋市に鎮座します。関東の海と陸——それぞれの地理的特性と、経津主大神(海運)・建御雷神(武運)の御神徳が結びついています。春日大社への勧請元としても重要な両社は、神社検定の総合問題でもよく登場するテーマです。
伊勢神宮を除く「神宮」は香取と鹿島——この一文は神社検定の鉄板問題です。経津主大神(海運)と建御雷神(武運)の役割分担も、必ずセットで覚えておきましょう。
本日の学び直しまとめ
- 伊勢神宮以外の「神宮」:香取神宮・鹿島神宮
- 香取:経津主大神——漁業・海運の神(千葉県香取市)
- 鹿島:建御雷神——武運の神(茨城県鹿嶋市)
- 日本書紀の天孫降臨前に国土を平定
- 春日大社の神々も香取・鹿島から勧請
- 平安時代以降「神宮」と称される
次回は、藤原氏の氏神春日大社と、春日四所明神について学びます!
香取・鹿島の二社は、古事記・日本書紀の神話と関東の信仰史を結ぶ重要なキーワードです。

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