前回は、先祖のお祀りと御霊舎について学びました。今回は神葬祭(しんそうさい)——神道式の葬儀——の成り立ちと、基本的な流れを整理します。
「神葬祭と仏式の違いは?」「墓所地鎮祭とは?」「通夜祭と遷霊祭の順は?」——教科書の番号どおりに押さえましょう。
1. 神葬祭とは
神葬祭とは、神道式で行う葬儀のことです。現代の葬儀には仏式が多いですが、日本にはもともと神道に基づく葬送の慣習がありました。独自の信仰に基づく葬送の記述は、古事記にも見えます。
大切な人(大御子)が亡くなったとき、遺体を安置する家を建てて葬儀を営んだ、と伝えられています。古墳の出土品などからも、それぞれが鳥をつとめ八日八夜歌舞をした、という古代の葬儀の様子がうかがえます。
2. 仏教伝来後から明治へ
大宝2年(702年)の持統天皇の大喪からは仏教色が強まりました。中世以降は公家・武家でも仏式や武式が混ざり、江戸時代の寺請制度で一般にも仏式が定着します。そのなかで日本固有の葬儀を見直す動きが起こり、明治時代には神式による葬儀が一般に認められるようになりました。
3. 神葬祭の基本的な流れ(①〜⑯)
地域差はありますが、一般的な神葬祭は次の番号の順で進みます。
① 帰幽奉告(きゆうほうこく)
家族の誰かが亡くなったら、氏神様・神棚・御霊舎にそのことを奉告します。帰幽とは、故人が幽世(かくりよ)へ帰ることです。
② 枕直しの儀
遺体を整えて殯室(もがり)——遺体を安置する部屋——へお移しします。遺体は北枕にし、白い布で覆い、屏風を立て守り刀を置きます。灯火をともし、米・塩・水などをお供えします。
③ 納棺の儀
遺体を棺にお納めします。
④ 柩前日供の儀
納棺から出棺までの間、毎朝夕、故人の御霊をお慰めします。
⑤ 墓所地鎮祭
遺体をお納めする土俵(墓所)を祓い清めるお祭りです。
⑥ 通夜祭
夕〜翌2〜3時ごろには故人の御霊をお慰めするお祭りです。拝礼では忍手(しのびて)——微音(かすかな音)で音をたてない拍手——をしましょう。故人を偲び慎む心を表現しているのよ。
本来は早朝に遺体が戻って生き返るように(蘇生)を祈るお祭りだったのよ。故人のために奏でられた祭壇によって神職が奏上し、斎主が祭詞を奏上……雅楽の調べにのせて、参列者は玉串拝礼をします。お焼香などはありません。
⑦ 遷霊祭(せんれいさい)
故人の御霊を霊璽(れいじ)に遷すお祭りです。霊璽は仏式の位牌にあたります。
⑧ 葬場祭(告別式)
故人と最後のお別れをするお祭りです。通夜祭と同じく祭場の様子を整えます。基本的には通夜祭と同様のお祭りを行い、火葬場へ向かいます。ここまでが告別式当日のお祭りよ。
⑨ 発柩祭(出棺)
通夜祭を故人宅で行った場合、葬場へ移動することを雲前に奉告するお祭りです。
⑩ 火葬祭
火葬を行う際のお祭りです。
⑪ 埋葬祭
遺体・遺骨を埋葬するお祭りです。土葬の風習もあります。
⑫ 帰家祭
葬儀が滞りなく終了したことを雲前に奉告するお祭りです。
⑭ 翌日祭など(十日祭・三十日祭・四十日祭・五十日祭)
葬儀の翌日から御霊舎を鎮め鎮めるお祭りを行います。翌日祭・十日祭・三十日祭・四十日祭などがあり、五十日祭で終了し神職をよんでもらいます。霊璽は五十日祭が終了するまでは別の仮霊舎に安置されるのよ。家族の手でお供えをして毎朝夕拝礼しましょうね。近頃は五十日祭に合わせて埋葬祭が行われる場合も多いです。墓前でも同様のお祭りが行われます。
⑮ 清祓(せいはらえ)
一般的には五十日祭をもって忌明けとされます。家中を祓い、神棚のお祀りを再開しましょう。
⑯ 合祀祭
地域によって違いありますが、五十日祭が終わった後、仮霊舎に安置していた霊璽を御霊舎に遷すお祭りを行います。
4. 神棚と忍中
神棚の前には白い半紙を貼って一時的にお祀りを休みます。忍中——故人のお祀りに専念する期間——は忌明けの50日が一般的です。
【古事記トピックス】葬送と神話
古事記に見える葬送は、死を共同体が儀礼を尽くして見送る出来事として描かれます。八日八夜の歌舞などの記述は、葬儀が厳粛な祭祀であったことを示します。
本日の学び直しまとめ
- 神葬祭=神道式の葬儀
- ①帰幽奉告→②枕直し→③納棺→④柩前日供→⑤墓所地鎮祭→⑥通夜祭→⑦遷霊祭→⑧葬場祭→⑨発柩→⑩火葬→⑪埋葬→⑫帰家→翌日祭〜五十日祭→⑮清祓→⑯合祀
- 霊璽=故人の御霊を遷すもの(位牌にあたる)
- 忌明けは五十日祭が目安/神棚は半紙を貼って休む
次回は、神道のお墓と霊号について学びます。

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