昔の人々は、大自然の出来事に圧倒的な力を感じ、人間を超える存在として「神」を考えるようになりました。健康や天候など、いろいろなことを神に祈るようになり、神の教えを説く者も現れます。地域ごとに特色のある宗教が成り、なかには地域を超えて広がる宗教も出ました。
世界の宗教がどう起こり、どう広がったのか。古代の文明との関係も、そこに重なります。仏教、キリスト教、イスラム教は、世界三大宗教といわれます。列島では、それとは別に、自然と先祖を拝む神道が続いてきました。
釈迦と、二つの仏教
紀元前5世紀ごろ、インドのシャカ族の王子として生まれた釈迦は、修行を積むことで悟りを開き、煩悩から解放されることを教えました。ここから仏教が起こります。仏教はアジアの広い範囲に広まり、6世紀には日本にも伝わり、各地で独特の発展を遂げました。
釈迦は、人生には生・老・病・死の苦しみがあることを知り、29歳で出家し、35歳で悟りを開きました。以降、「ブッダ」(目覚めた人)と呼ばれます。
紀元前後のインドでは、すべての人の救済を説く大乗仏教が起こりました。チベット、中央アジアから中国、朝鮮を経て、6世紀には日本にも伝わり、各地で独自の発展を遂げます。自分の悟りを第一とする伝統的な仏教は上座部仏教と呼ばれ、スリランカ、ミャンマー、タイなどに広がりました。
ユダヤ教からキリスト教へ
西アジアのパレスチナでは、一神教のユダヤ教が起こり、その教えは『旧約聖書』にまとめられました。紀元前後、イエスがユダヤ教の教えに新たな解釈を加えます。人々はイエスを救世主と信じましたが、ローマ帝国によって処刑されました。その後、教えは弟子たちによって広められ、キリスト教が起こります。
人は罪を負って生まれてくるが、必ず神の愛を受けられる、という教えは『新約聖書』にまとめられています。パレスチナに生まれたイエスは「神の愛」を説き、神を愛することと隣人を愛することとは分けられない、と述べ、弱い者や罪人にまで救いの手を差し伸べました。
キリスト教は3世紀、ローマ帝国から弾圧されました。313年にローマ帝国で公認され、ヨーロッパへ伝わります。392年にはローマ帝国の国教とされ、ほかの宗教は禁じられました。のちにヨーロッパの国々が世界へ覇権を広げ、植民地を持つようになると、キリスト教は世界各地へ広がりました。日本に伝わったのは、16世紀です。
イスラム教
7世紀のアラビア半島では、ムハンマドが、ユダヤ教とキリスト教を元に、神アラーのお告げを受けたとしてイスラム教を起こしました。神への絶対の服従と、偶像を拝むことの禁止を教え、聖典『コーラン』はイスラム社会のあらゆるものを規律するようになります。イスラム教はアラビア半島を中心に、北アフリカから東南アジアに至る広い範囲へ及びました。
| 起こり | 広がり | 日本へ | |
|---|---|---|---|
| 仏教 | 紀元前5世紀ごろ。インドの釈迦 | アジアの広い範囲。大乗はすべての人の救済、上座部は自分の悟りを第一とする | 6世紀 |
| キリスト教 | 紀元前後。イエスがユダヤ教に新たな解釈を加える | ヨーロッパから世界各地。313年に公認、392年にローマの国教 | 16世紀 |
| イスラム教 | 7世紀。アラビア半島のムハンマド | 北アフリカから東南アジア。聖典は『コーラン』 | — |
| 神道 | 太陽、山、海など自然の要素に神が宿るとし、神々と先祖を拝む | 日本列島 | 列島で続いてきた信仰 |
列島では、神道
日本列島の人々は、太陽や山や海などの自然の要素に神が宿ると信じ、神々や先祖を拝んできました。それを神道といいます。
三大宗教が各地の古代世界から広がるなか、列島の側が天皇の祖先をどう語ったかは、『古事記』と『日本書紀』の天孫降臨に残っています。

